第二次世界大戦の敗戦から20年。政府によって発表されていた所得倍増計画は、瞬く間に、その成果を示し、日本は驚異的な高度経済成長の真っ只中にありました。東京オリンピックを経て大阪万博の開催、私たちの生活はどんどん豊かになり、また、この時代は70年安保への反対運動が高まるなど、熱い政治の季節でもありました。そしてオイルショック後には、その熱気は冷め始め、経済も低迷し低成長時代を迎えます。本展覧会の背景となるのは、そんな時代です。
美術も時代に応じて熱い前衛的な動向が注目され、それまでの「絵画」や「彫刻」を否定した「反芸術」が登場しており、やがて色彩や図像が抑えられた、禁欲的な表現が拡がっていきます。その一方で、印刷メディアを中心に様ざまな表現が現れていました。このころ、色彩や図像・イメージの主流は「美術」より、出版やポスターなどグラフィック・アートやマンガなど、サブカルチャーにあったといえるのではないでしょうか。そこには、進歩した印刷技術と流通の上に立って開花した、優れた才能の存在がありました。本展覧会で紹介する8名の仕事から、時代と共にあったビジュアルイメージをお楽しみください。
これまでの展覧会の紹介
粟津潔 寺山修司主宰天井桟敷「犬神」ポスター
1969年 シルクスクリーン ポスターハリスカンパニー蔵 氾濫するイメージ
反芸術以後の印刷メディアと美術 1960’S〜70’S An Overflow of Images
The Works of Art in the Age of Mechanical Reproduction After Anti-Art in Japan 昭和40年代、情報化時代の到来とともに、主に印刷メディアを通して華々しく展開したビジュアルなイメージ。赤瀬川原平、粟津潔、宇野亜喜良、木村恒久、タイガー立石、つげ義春、中村宏、横尾忠則の8名による仕事から、600点を超える多量のポスターや装丁、挿画、絵画や版画等を通して多様なイメージの数々を展覧します。 会期 2009年4月4日(土)〜2009年5月17日(日) 終了しました
開館 午前10時〜午後7時 入館は午後6時30分まで
休館日 毎週月曜日 ただし5月4日(月・祝)は開館、5月7日(木)は振替休館
主催 財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団、読売新聞東京本社、
美術館連絡協議会 協賛 ライオン、清水建設、大日本印刷
協力 金沢21世紀美術館、国立国際美術館、
白石コンテンポラリーアート、ヨコオズ・サーカス 出品作家 赤瀬川原平、粟津潔、宇野亜喜良、木村恒久、タイガー立石
つげ義春、中村宏、横尾忠則
つげ義春「ねじ式」より 1968年
画像提供 青林工藝舎
宇野亜喜良 ヤマナシ・ミニブック 1967年
スパンアートギャラリー蔵
横尾忠則 バラ色ダンス ガルメラ商会ポスター
1965年 国立国際美術館蔵
赤瀬川原平「日本お伽月報2桃太郎」原画
1974年
中村宏 「ドラキュラ」表紙原画 1973年
練馬区立美術館蔵
タイガー立石 A Point 1973年
埼玉県立近代美術館蔵
木村恒久 ブタに吠える 1980年
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