これまでの展覧会の紹介
特集展示
城所 祥の木口木版画
Wood Engravings by KIDOKORO Sho
概要
八王子市夢美術館では、木版画でその才能が高く評価された地元出身の版画家、城所祥(八王子市八日町出身)の展覧会を開催します。前回、2008年(平成20年)に当館で開催された特別展「城所祥展 ー 静影の版画家 ー」では作品全般を回顧する観点から城所の表現の中心である板目木版画を主な展示としましたが、今回は城所のもう一つの木版表現である木口木版画に焦点を当て特集展示として紹介します。木口木版画とは、版木としてツゲやツバキなどの堅い木の木口(輪切りにした断面)を用いた版画で、ビュランという鋭い刃を持つ道具を使い、一般的には黒一色の画面の中に精密で繊細な表現が特徴です。城所がこの技法を独学で習得したのは1950年代後半から1960年代初め頃と思われますが、この仕事が世に知られるようになったのは詩人三好豊一郎と木口木版画を使った詩画集『黙示』を1967年(昭和42年)に刊行した頃からです。さらに1971年(昭和46年)には三好氏と詩画集『鳥』を刊行、1977年(昭和52年)には、日和崎尊夫、柄澤齊らと木口木版画グループ「鑿の会」を結成し戦後ほとんど衰退していた木口木版画の新たな潮流として美術界で注目を集め、次第に木口木版画の作家としても知られるようになります。一方で城所個人の木口木版画の制作は先の詩画集や「鑿の会」の活動とはやや異なる作風を持ち、木口木版画の初期となる1960年代後半の作品では半具象、1970年代初めには具象、1970年代末には静物というように板目木版画とほぼ同じ変遷です。しかし、この技法が持つ細密な描写においてその表現は板目木版画と違っていました。特に1970年代初めには、同時代の板目木版画よりも先んじてその写実性が強く現れ、木口木版画が元来、写実に適した技法であることを強く意識した表現となっています。また、多色刷りが珍しいこの技法において板目木版を併用して色をもたせ、暖かみのある要素を加えている点もその特徴の一つといえます。
本展ではこうした初期から晩年に到る城所の木口木版画の作品を振り返り、この技法が持つ細密な描写に城所がどのように臨んだのかを内容や技法面の特徴に触れながら紐解きます。また、二つの詩画集『黙示』『鳥』や「鑿の会」の活動、実際に使用した木口木版画の道具類や版木、過程資料等も紹介しながら、城所祥の木口木版表現の活動の全貌に迫ります。
本展ではこうした初期から晩年に到る城所の木口木版画の作品を振り返り、この技法が持つ細密な描写に城所がどのように臨んだのかを内容や技法面の特徴に触れながら紐解きます。また、二つの詩画集『黙示』『鳥』や「鑿の会」の活動、実際に使用した木口木版画の道具類や版木、過程資料等も紹介しながら、城所祥の木口木版表現の活動の全貌に迫ります。
展覧会出品作品より
特集展示イベント「学芸員によるギャラリートーク」
2011年2/13(日)、2/20(日) に学芸員によるギャラリートークを開催します。
詳細はこちらの「イベント」ページからご覧いただけます。
詳細はこちらの「イベント」ページからご覧いただけます。
展覧会データ
特集展示 城所 祥の木口木版画
会期
2011/02/04(金)〜2011/02/20(日) 終了しました
開館時間
10:00〜19:00 入館は18:30まで
休館日
毎週月曜日
主催
財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団
特別協力
城所京子
協力
神辺一善、武蔵野美術大学通信教育課程
観覧料
「ご利用案内」ページの観覧料をご覧ください
プロフィール
城所 祥(きどころ しょう 1934〜1988年)
1934年(昭和9年)八王子市八日町の家具商「加島屋」に生まれる。
早くから美術に興味を持ち、中学時代に木版画を制作しはじめる。都立立川高校、早稲田大学商学部を卒業、1959年(昭和34年)に養清堂画廊で初の個展を開き、1961年(昭和36年)に「日本版画協会」会員となる。
板目木版を数多く制作し、この頃は抽象的な作品に多く取り組む。また、日本だけでなく数々の国際版画展にも出品し活動の場を広げる。
1970年代後半の作品はりんご・静物などを題材に具象へと移る。
1971年(昭和46年)喜福寺(八王子市中野山王)の襖絵を木版画で制作、また雑誌『アルプ』に挿絵を掲載する。
1977年(昭和52年)に木口木版画グループ「鑿の会」結成、翌年にかけて文化庁在外研修員として一年間パリ、スイスに滞在、1979年(昭和54年)には渡米し、シカゴで個展を開く。
1986年(昭和61年)には日動画廊で「木口木版画5人展」を開く。
1988年(昭和63年)7月22日逝去、享年53歳であった。生前は武蔵野美術大学、金沢美術工芸大学でも教鞭をとり、また大英博物館、パリ国立図書館、東京国立近代美術館、青梅市立美術館、町田市立国際版画美術館、福岡市立美術館などに作品が収蔵されている。
2003年(平成15年)、八王子市夢美術館開館にあたり作品の大部分が寄贈され、2008年(平成20年)2月には初の大規模回顧展となる「城所祥展 ー 静影の版画家 ー」(八王子市夢美術館)が開催された。
早くから美術に興味を持ち、中学時代に木版画を制作しはじめる。都立立川高校、早稲田大学商学部を卒業、1959年(昭和34年)に養清堂画廊で初の個展を開き、1961年(昭和36年)に「日本版画協会」会員となる。
板目木版を数多く制作し、この頃は抽象的な作品に多く取り組む。また、日本だけでなく数々の国際版画展にも出品し活動の場を広げる。
1970年代後半の作品はりんご・静物などを題材に具象へと移る。
1971年(昭和46年)喜福寺(八王子市中野山王)の襖絵を木版画で制作、また雑誌『アルプ』に挿絵を掲載する。
1977年(昭和52年)に木口木版画グループ「鑿の会」結成、翌年にかけて文化庁在外研修員として一年間パリ、スイスに滞在、1979年(昭和54年)には渡米し、シカゴで個展を開く。
1986年(昭和61年)には日動画廊で「木口木版画5人展」を開く。
1988年(昭和63年)7月22日逝去、享年53歳であった。生前は武蔵野美術大学、金沢美術工芸大学でも教鞭をとり、また大英博物館、パリ国立図書館、東京国立近代美術館、青梅市立美術館、町田市立国際版画美術館、福岡市立美術館などに作品が収蔵されている。
2003年(平成15年)、八王子市夢美術館開館にあたり作品の大部分が寄贈され、2008年(平成20年)2月には初の大規模回顧展となる「城所祥展 ー 静影の版画家 ー」(八王子市夢美術館)が開催された。