これまでの展覧会の紹介

フュリス 1984 紙に水彩 © 2005,Lamme Janssen,Hamburg
ホルスト・ヤンセン展 — 北斎へのまなざし —
戦後ドイツ美術で異彩を放った画家、ホルスト・ヤンセン。北斎を師と仰ぎ、緻密な線描により人間の意識の底を鋭く見つめた画業を紹介。「日本におけるドイツ年」参加企画。

展示作品
水彩画、彩色ドローイング、版画など150点  葛飾北斎:北斎漫画8点 他
※展示作品は変更になる場合があります

会期
2005年12月2日(金)〜1月22日(日)

主催/会場
八王子市夢美術館

企画協力
日本パウル・クレー協会

後援
ドイツ連邦共和国大使館、ドイツ文化センター

監修
Wieland Schmidt(前ベルリン・ナショナルギャラリー館長)

ギャラリートーク
2006年1月14日(土)午後3時〜4時 ※観覧料が必要です
新藤信 氏(日本パウル・クレー協会事務局長)が、ホルスト・ヤンセンの生涯と作品について実際に展示室で作品を観ながら解説します。



本展覧会は、「日本におけるドイツ年」の一環として、ドイツを代表する国際的な芸術家ホルスト・ヤンセンの生涯にわたる業績を評価するとともに、ヤンセンが師と仰いだ葛飾北斎との接点をクローズアップするコーナーも設けて開催いたします。

20世紀後半のドイツ美術は、第二次世界大戦の敗北によって空白期を余儀なくされたものの、やがて、アメリカ現代美術の隆盛に刺激を受け、各地の美術学校の復興ともあいまって新しい才能が次々に出現します。そこでは、祖国が東西二国に分断されたという特殊な事情を色濃く反映し。国家、民族、歴史、社会性といったものが大きく取り上げられ、社会彫刻という考え方を打ち出したヨゼフ・ボイスのような特異な芸術家が脚光を浴びることともなりました。そして、70年代後半には、ニューウェイブ(ニューペインティング、新表現主義)の国際的な潮流の下にキーファー、バゼリッツなどのスター画家が登場して、ドイツ美術界はふたたび世界文化の一翼を担うことになります。
その一方で、国際的な流行からは距離を保ち、ロマン主義の流れを汲むドイツ的感性が、その地域性の中で脈々と受け継がれていったことも確かであり、ホルスト・ヤンセンは、後者の代表的画家といえます。

1929年、(自叙年譜によれば)母親の旅行中にハンブルクに生まれたヤンセンは、生涯の大半をこの自由ハンザ都市の港町に過ごします。1960年代に版画家として注目を集め、1968年、ヴェネツィア・ビエンナーレで版画大賞を受賞、その後も版画のみならず色鉛筆、水彩、パステルなどによる作品を数多く生みだします。北斎、歌麿などの浮世絵にも影響を受け、日本美術にも多大な関心を示しました。
ドイツロマン主義絵画の潮流に根ざしながら、葛飾北斎を師と仰いだヤンセンの絵画世界は、戦後ヨーロッパ具象絵画の中で独特のスタイルを確立し、高い評価を得ています。

本展は、ホルスト・ヤンセンの全版画作品を所蔵するハンブルク美術館(Hamburg Kunsthalle)ならびにオリジナル絵画作品の個人所蔵家の全面的な協力のもとに、画家ヤンセンの生涯にわたる創作活動を広範にとらえなおし、ドイツ的なものとはなにかを探りながら、画家の全体像を展観するものです。また、北斎などの日本の浮世絵画家に強い影響を受けたヤンセンの画業が、参考出品の「北斎漫画」などを通して紹介されます。


日本での「ホルスト・ヤンセン」
ヴェネツィア・ビエンナーレで版画大賞(1968年)を受賞したヤンセンは、古くは1960年代から美術雑誌『みずゑ』等で取りあげられ、若い読者の圧倒的な支持を得ました。80年代から90年代初頭にかけて、3回にわたり日本でも巡回展が開かれ、オリジナル作品の「凄み」が大いにアピール、ヤンセンの評価と知名度が更に高まり、近年でも根強い人気を持っています。


ヤンセンの今日的意味
1995年に世を去ったヤンセンは、20世紀後半を代表するドイツ画家として名声を確実なものとし、ハンブルク美術館にはその全版画作品が収蔵されると共に、ヤンセン常設室が整備されました。さらに、北ドイツのオルデンブルクには2000年に「ヤンセン美術館」が開館。同時にウィーン、ベルリン、ハンブルク、フランクフルトで大回顧展が開かれ、同様の展覧会がこれ以降パリ、ロンドンなどで計画されています。ヤンセンの絵画はドイツ・ロマン派の直系に位置するものであり、同時に戦後ヨーロッパ具象絵画の中では実に特異なスタイルを確立しています。


ホルスト・ヤンセン  Horst Janssen
1929年 ハンブルクに生まれる
1995年 オルデンブルクにて死去

デッサン(素描)と各種の版画を手がけ、暗い画面にデフォルメ(変形)された自画像、人体、静物、風景を緻密に描く。諧謔的でエロティックな表現に特色がある。浮世絵の影響も強く、とくに葛飾北斎に傾倒し、北斎にならい自らを画狂人と称した。

修道女 1957年 木版
©2005,Lamme Janssen,Hamburg

解剖学教室 1958年 銅板
©2005,Lamme Janssen,Hamburg

お休みの時間(歌麿による)1975年
紙に鉛筆、色鉛筆
©2005,Lamme Janssen,Hamburg

ホルスト・ヤンセン
©2005,Lamme Janssen,Hamburg